

優雅な生活に隠された残酷さが光る短編集。
「身内に不幸がありまして」
お嬢様に仕える少女の手記から始まる話。
短いながら、真相が面白い。
文庫本では最後の一文のみ上手く別ページになっているため、一番ぞくっときた。
「北の館の罪人」
別館に閉じ込められた兄の世話をする、異母妹の話。
作中で語られる「青」の作り方が興味深い。
ひねりの効いたトリックがいい。
「山荘秘聞」
山荘の管理人の話。
彼女の生活描写が非常に気持ちよく、思わず憧れる。
一度はこんな生活がしてみたい、と思ってしまい、終盤で明かされる動機に共感してしまった。
家事のモチベーションが少しあがる話である。
「玉野五十鈴の誉れ」
旧家に縛られるお嬢様と、彼女の使用人の話。
純香と五十鈴の関係性と、その描写の仕方がとても好き。
彼女の行動で示される「誉れ」がたまらない。
「儚い羊たちの晩餐」
成金の娘の手記。
厨娘についてはよく知らなかったが、知っていた人はオチも予想できたのではないだろうか。
アミルスタン羊も知らなかったが、婉曲的な表現で理解できるようになっている。
決して、それが指すものを明確な言葉にしない、その表現が好み。