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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「うちの執事が言うことには9」高里椎奈




衣更月の時計を壊してしまった花穎、見ると呪われる絵画、嫌がらせされるケーキ屋、「誰かの為に死ねるか」と問う襲撃者の話。

シリーズが一区切りする巻であり、花穎と衣更月の絆がいかに深まったのかが語られる。特に「眠れる森の」で咄嗟にぶつけられた花穎の演技を受けとめる衣更月がいい。
赤目は今回暗躍せず振り回される側だったのでちょっと物足りなかった。
エピローグでは、真一郎がなぜ衣更月を花穎の執事に抜擢したかの真意が明かされる。大変父親らしい理由である。

シリーズ全体としては、個々のエピソードはわりと面白いし花穎と衣更月の成長譚としても悪くないと思う。ただ、現代日本社会に、昔のイギリス貴族を土台としたような上級社会が突っ込まれるという構造の違和感はどうしても拭えなかった。よく執事や使用人の成り手がいるな~よっぽど給与いいのかな。安定性はありそうだけどプライベートは会社勤めより少なそうだし仕事一筋で成り上がるにも限界があるし。これだけ要求水準の高い執事が務まる人なら普通の会社に勤めた方が何倍もいい人生送れそう。
たぶん異世界とか架空の国とかの設定なら楽しめたと思う。

「うちの執事が言うことには8」高里椎奈



招待先でのボヤ、違和感の多い舞台芸術、頼長の冒険、墓荒らしと傘地蔵の話。

花穎は人間関係の経験値が少なく、その点に関してはまだまだよちよち歩きの雰囲気がある。
それでも最後の話で墓守に告げた言葉は、擦れていないからこそ、衣更月と沢鷹兄妹にも響いたのだろう。
そしてまた赤目が暗躍しそうな雰囲気で幕切れである。今度はいったい何を仕掛けるのだろうか。

「うちの執事が言うことには7」高里椎奈



珍しくミスの目立つ烏丸家使用人、臨時の執事代理、とんでもないものを掘り返した仔犬、美大の新入生オリエンテーションの話。

花穎と衣更月のツーカーぶりが楽しめる「開かずの赤ずきん」が好き。タイトルの駄洒落も気に入っている。
美大入学でまた雰囲気の違った話も読めそうだ。

「うちの執事が言うことには6」高里椎奈




使用人舞踏会、旧本邸に閉じ込められた少年、使用人たちから見た衣更月、身に覚えのない買い物の話。

烏丸家の親戚やフットマン時代の衣更月など、花穎の周辺が掘り下げられる。
衣更月が花穎の身を案じて感情的になるところが、絆の深まりを感じさせて良い。
そして鳳の身体に問題がないと知ってほっとするふたりがかわいい。

「うちの執事が言うことには5」高里椎奈




地下密室におかれた暗号、落ちた陶芸用の土、消えたHDD、花穎の家出の話。

自分が何者であるかを探し始めた花穎。危なっかしくも巣立ちの準備を始めた雛鳥を見守っていきたい。
そして真一郎と鳳の出会いも明かされる。まさか出会った頃からスーパー執事であるとは思ってなかった。

「うちの執事が言うことには4」高里椎奈




豪華客船からの転落事件、赤目家の交換研修、仔猫と消えたパイ、花穎の不穏な噂を調査する衣更月の話。

前作でひとつの転機を迎えた花穎と赤目だが、関係性に大きな変化はない。赤目が花穎をからかう態度から悪意が抜け、より遊びの要素が強調されてはいるが。

また、己の未熟さに悩む衣更月も見所のひとつ。ワインの例えにコルクで返すのが洒落ている。

「うちの執事が言うことには3」高里椎奈



狙われた入院患者、古時計の幽霊、屋根の上の人質、ひとりずつ引き離されていく烏丸家使用人の話。

赤目がついに本性を現す。
使用人を花穎から引き剥がしていく手管は面白かった……のだが。いくらなんでも花穎にあっさり絆されすぎである。人ひとりを執拗に追い詰めるほどの積年の恨みが、あんなぽわっとした言葉で解消されるだろうか?なんだかなあ。
まあ、赤目も自力で成功してるし、単に性格悪くて花穎をオモチャにしていただけで、言うほど恨んでなかった……という捉え方にしておこう。

「春琴抄」谷崎潤一郎




高慢な盲目の美女と彼女に献身的に使える男の物語。

男が弟子を折檻するのは多々あるけど女が男の弟子を殴打するのは珍しい、春琴には嗜虐性の傾向があったのではないか、という記述に時代を感じる。

佐助は盲目になってさらに春琴の美しさが理解できた、ふたりきりで極楽浄土にいるようだと語る。盲人同士の閉じられた世界で愛を交わすふたりの姿は歪で、それゆえに美しい。

「うちの執事が言うことには2」高里椎奈




売掛けの踏み倒し騒動、練習用晩餐会に響く銃声、犬小屋の数字と衣更月の過去、そして美術館に飾られた贋作の話。

今回は衣更月という人物についてより深く掘り下げ、かつ執事の在り方について描かれている。

正直この作者の文体があまり合わない、というか必要でないとこに比喩の装飾がポンポン使われていて大事なとこが説明的に感じられるのだが、ストーリーはわりと面白い。
あからさまに怪しげな赤目がいよいよ花穎に牙を剥きそうで楽しみ。


「うちの執事が言うことには」高里椎奈




18歳でいきなり名家の当主を継いだ花穎と、同時にフットマンから新米執事に昇格した衣更月。お互い突然の環境変化への戸惑いと、慕っていた前執事の鳳が家令となり屋敷から離れたことが原因で初対面の印象は最悪。以後もいろいろとぶつかり合う。このふたりが成長し唯一無二の主従となっていく成長物語――なのだろう。たぶん。

身の回りで起こるトラブルを花穎が(時には衣更月が)推理し解決する、いわゆる日常ミステリ。まだまだスマートさには欠けるホームズ役だが、そこが逆に18歳相応でいい。
第一巻では銀食器盗難、パーティで倒れた女性と濡れ衣を着せられた花穎、庭に来た仔犬、そして花穎と小さな令嬢が誘拐される話が収録されている。

ところで引っかかるのが、花穎の特殊体質である、色彩認識への異常な繊細さを衣更月が知らなかったこと。おそらく鳳はふたりの成長のためあえて告げなかったのだろうが、そんな重要事項を引き継ぎしないのは仕事として正直どうなんだろう。

        
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