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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「レディ・ガンナーの大追跡」茅田砂胡





前作の冒険を描いた絵が一因で、ベラフォードが狙われることになってしまう。
責任を感じたキャサリンは、再び旅に出ることに。

異種人類が存在する社会、という世界観に焦点を当てた話。
前作よりも少々どぎつい描写もある。

ところで、キャサリンは出会った異種人類をやたら虜にしている気がする。
「キャサリンを悪く言う存在、すなわち悪!」とでも言わんばかりだ。
まあ、こういった小説では主人公無双しているほうが気持ちよく読めるので、それも良いのか。

「レディ・ガンナーの冒険」茅田砂胡




普通の人類と、動物に形態変化できる種族、異種人類が混在する世界。
名門の令嬢キャサリンは、幼馴染を救うために四人組の用心棒を雇い、旅に出る。

こういう小気味よいお嬢様は好き。
主要キャラクターの個性もたってるし、テンポの良い展開で、ラストの痛快さがいい。


「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午





タイトルにひかれて購入。
抒情的な題名とは裏腹に、テンポよくストーリーが進む。
詐欺会社の事件もヤクザの事件も面白く読んだ。

そして、この小説の肝であるトリック。
見事に引っかかってしまった。
この手のトリックにまだ慣れておらず、注意を払わなかった、というのもあるだろうが、本当に上手く構成されていると思う。

最後まで読み終った時、題名の意味がじんわりと胸に沁みてくる。

「ドミノ」恩田陸





かなりスピード感のある群像劇。
東京駅ですべてが収束していくのが面白い。
小学生二人や、ミステリ連合会のこれから先が気になる。カップルは別れそうだけど。
ラストが投げっぱなしになることが多い恩田陸作品だが、この本はちゃんとオチがついてて良かった。


「儚い羊たちの祝宴」米澤穂信





優雅な生活に隠された残酷さが光る短編集。


「身内に不幸がありまして」
お嬢様に仕える少女の手記から始まる話。
短いながら、真相が面白い。
文庫本では最後の一文のみ上手く別ページになっているため、一番ぞくっときた。


「北の館の罪人」
別館に閉じ込められた兄の世話をする、異母妹の話。
作中で語られる「青」の作り方が興味深い。
ひねりの効いたトリックがいい。


「山荘秘聞」
山荘の管理人の話。
彼女の生活描写が非常に気持ちよく、思わず憧れる。
一度はこんな生活がしてみたい、と思ってしまい、終盤で明かされる動機に共感してしまった。
家事のモチベーションが少しあがる話である。


「玉野五十鈴の誉れ」
旧家に縛られるお嬢様と、彼女の使用人の話。
純香と五十鈴の関係性と、その描写の仕方がとても好き。
彼女の行動で示される「誉れ」がたまらない。


「儚い羊たちの晩餐」
成金の娘の手記。
厨娘についてはよく知らなかったが、知っていた人はオチも予想できたのではないだろうか。
アミルスタン羊も知らなかったが、婉曲的な表現で理解できるようになっている。
決して、それが指すものを明確な言葉にしない、その表現が好み。






「片目のオオカミ」ダニエル・ペナック(末松氷海子)




片目を開けないオオカミと、少年の瞳を通じた交流。
アラスカとアフリカの思い出が交錯し、絆が生まれた。



「手紙」東野圭吾




強盗殺人犯の弟して生きる半生を綴った物語。

平凡な少年が、犯罪者の身内としての扱いを受けるうちに、悩み、葛藤し、徐々に性格が変わっていく。
一方、罪を犯した兄は、刑務所で何年もの時を過ごしても、それほど性格が変わることはない。
刑務所で過ごす時間は、時が止まってしまっているかのようだ。

犯罪者の身内について、普段思いを馳せることは少ない。
だが、もし職場に、近所にそういった人間がいたら…きっと自分も、この小説に出てくるような反応を見せるのだろう。

差別はいけない、と教育されている。それは正しい。
しかしこの小説では、差別を受けることこそ贖罪である、と語っている。
おそらく、強盗殺人犯である剛志の贖罪は、弟に縁を切られた時から本当に始まり、釈放されても一生続くのだろう。

非常に胸にせまる物語だ。
ただ、終章のシーンが、ほのかな救いをあたえてくれる。

「クール・キャンデー」若竹七海




女子中学生のひと夏のミステリー。

さわやかな青春で、ハッピーエンド…かと思っていたら、最後の一文で全てがひっくり返った。
小生意気な女子中学生視点の一人称はあまり性に合わないな…と思っていたが、このラストは素晴らしい。
余計なものをそぎ落とした一文が、よく効いている。

「フォア・フォーズの素数」竹本健治




独特な世界が展開する短編集。

ウェルニッケ脳症患者の書簡として書かれた「空白のかたち」は、いろいろと想像する余地があって面白い。
カレーの辛さを極める男たちの「白の果ての扉」も楽しめた。


「クリスピン」アヴィ(金原瑞人)




中世のイギリスを舞台にした正統派成長物語。
目次に章ごとのあらすじが書いてあり、正直読む気を削がれてしまった。

しかし、最後まで読んだかいはあったと思う。
少年クリスピンの成長と、中世イギリスが民主主義へと変化していく様を重ねて読むことができる。

年齢的なものか時代的なものか、保護者の「熊」視点で読んでしまい、無気力状態から年相応に成長するクリスピンがかわいく思えた。

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管理者:dusk

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