

強盗殺人犯の弟して生きる半生を綴った物語。
平凡な少年が、犯罪者の身内としての扱いを受けるうちに、悩み、葛藤し、徐々に性格が変わっていく。
一方、罪を犯した兄は、刑務所で何年もの時を過ごしても、それほど性格が変わることはない。
刑務所で過ごす時間は、時が止まってしまっているかのようだ。
犯罪者の身内について、普段思いを馳せることは少ない。
だが、もし職場に、近所にそういった人間がいたら…きっと自分も、この小説に出てくるような反応を見せるのだろう。
差別はいけない、と教育されている。それは正しい。
しかしこの小説では、差別を受けることこそ贖罪である、と語っている。
おそらく、強盗殺人犯である剛志の贖罪は、弟に縁を切られた時から本当に始まり、釈放されても一生続くのだろう。
非常に胸にせまる物語だ。
ただ、終章のシーンが、ほのかな救いをあたえてくれる。