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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「弁護側の証人」小泉喜美子





ミステリーには似つかわしくない優美な文章を楽しんでいるうちに、あっさり騙されてしまった。
前情報を知らずに読んだのも良かったのだろう。
販売時には大げさに煽る帯がついていたらしく、身構えて読んだ人は拍子抜けしたらしい。
一見はかなく見えるミミイの、したたかとも言える強さが印象的だった。



「アクロイド殺害事件」アガサ・クリスティ(大久保康雄)





「ビブリア古書堂の事件手帖3―栞子さんと消えない絆」三上延





栞子の母は相変わらず謎めいているが、少しずつ話が進んできた。
収録されている短編も、それぞれ繊細で味がある。
しのぶとその両親の確執は、不器用さからくるもので、いったん雪解けしたら和解は早そうだけど…栞子母娘は一筋縄ではいかないんだろうなあ。


「ビブリア古書堂の事件手帖2―栞子さんと謎めく日常」三上延




栞子と大輔、主役二人が掘り下げられている。
ゆっくりと近づく二人の距離がいい。
古本屋を舞台にした作品は他にもあるが、このシリーズは本の紹介がうまい。
本の書かれた背景や、ストーリーの紹介が魅力的で、思わず読みたくなってしまう。

「ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち」三上延




古本をめぐるミステリー連作短編集。
構成が良い。最初の話と最後の話がうまく繋がっている。
繊細でちょっと苦味を感じさせつつ、やわらかな雰囲気が素敵だ。
よくあるミステリより、人間の心情を丁寧に扱っている。
かよわく見せてしっかりとした芯やしたたかな面も持つ栞子と、意外と鋭いワトソン役の大輔、二人の微妙な関係も楽しめた。

「おまけのこ」畠中恵




しゃばけシリーズ短編集。

「こわい」
若だんなと栄吉の喧嘩。
飲めば一流の職人となれる薬…それに頼るのは怖い、と言い切れる栄吉は強い。

「畳紙」
お雛の厚化粧の謎解き話。
口は悪いが根はやさしい屏風のぞきが魅力的。
妖は人と違う性質を持つ、と作者はよく書いているが、屏風のぞきには結構人間味がある。

「動く影」
若だんなと栄吉が子供だった頃の冒険。
五歳とは思えないほど頭の回転が良いが、描写がいちいちかわいらしい。

「ありんすこく」
吉原の禿を足抜けさせる騒動。
楼主夫婦、かえで、まつば…それぞれの気持ちが胸にせまるだけに、何とも言えない。

「おまけのこ」
鳴家が主役の騒動。
真珠を月に例える感性がかわいい。




「ねこのばば」畠中恵






しゃばけシリーズ短編集。



「ぬしさまへ」畠中恵




しゃばけシリーズ短編集。


「ぬしさまへ」
仁吉に悪筆の懸想文が届く。その差出人が殺されてしまい…。
魔がさす、というのは誰にでも起こりうることだ。それに負けてしまった涙が痛々しい。

「栄吉の菓子」
栄吉の菓子を食べた隠居が死んだ。
ひねくれていつつも、ある意味一本筋の通った動機がいい。

「空のビードロ」
若だんなの異母兄、松之助が長崎屋に来るまでの話。
長崎屋の面々は、裕福なおかげか結構明るい印象があるが、かつかつな生活を送る東屋では厳しさの方が垣間見える。
余裕のない生活では、魔がさすことも、心に飼ってしまった鬼に負けることも多いのだろう。
松之助の心に生まれた闇を救うビードロの描写がすごく綺麗で好き。

「四布の布団」
若だんなの新しい布団からすすり泣き声がする。
己にも他人にも厳しいのは美徳かもしれないが、限度があるという話。

「仁吉の思い人」
千年の恋。
ずっと想い続ける吉野や仁吉もすごいが、生まれ変わっても相手を忘れない「鈴君」は相当すごい。

「虹を見し事」
若だんなの周りから、妖の影が消えてしまった。
いつもと違う雰囲気で進む物語。明かされた真相は厳しいが、若だんなの成長が丁寧に描かれていて好き。

「しゃばけ」畠中恵





病弱な若だんなが妖怪たちとともに事件を解決するシリーズ、第1作目。
江戸の粋を感じさせる、洒落た文章がいい。
軽快で読みやすく、するすると先に進める。

時代物は用語や背景などの違いが壁となりがちだが、必要以上に難解な用語を使わず、わかりやすく説明が入っている。
全体の構成も丁寧に書かれているので、再読するとまた楽しめる。

お江戸ミステリでいい小説なのだが、しゃばけの特徴はなんといっても登場人物にあるだろう。
とにかく、人も妖怪も人物造形が面白い。
若だんなは病弱で大事に育てられたからこそ、己の在り方を考え、芯の強さが感じられる。
仁吉と佐助は一見似通っているが、若だんなとの接し方は微妙に違う。
個人的に好きなのは屏風のぞき。皮肉屋だが、きちんと若だんなを見守る姿に好感が持てる。


「比類なきジーヴス」P.G.ウッドハウス(森村たまき)




有能な執事が活躍するどたばたコメディ。
イギリスの特権階級の暮らしがメインで、暗さはなく、どこかのんびりした雰囲気もある。
主役のバーティーは少し抜けているというか、だいぶお人よしな放蕩貴族だ。
周囲の人間はアクの強い人々が目立つ。
すぐ恋に落ちて騒動を巻き起こすビンゴには「逆転裁判」の矢張を思い出した。

執事のジーヴスは、仕事としてバーティに仕えているが、別に忠誠を誓っているわけでもない。
主人が賭け事に大損している裏で儲けていたりもする。
主人の派手な服装が気に入らない、という理由で事件を解決し、派手な服を処分するのもパターンの一つだ。
ジーヴスはなかなかの食わせ者で、そこがこの作品が愛されている理由なのだろう。


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管理者:dusk

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