
中世ヨーロッパ風の世界。貴族達が優雅に支配する<丘>と、庶民がたくましく生きるリヴァーサイドの地域から構成される市で、凄腕の剣客リチャード・セント・ヴァイヤーと謎めいた学生アレクがふたりで暮らしていく。
本編である「剣の輪舞」と三つの短編を収録。
「剣の輪舞」
本編。竜法務官フェリスがリチャードに上司の殺害を依頼する。フェリス、若い貴族のマイケル、彼に振られて逆恨みするホーン卿、そして彼らを手玉に取り政治を操るトレモンテーヌ公爵夫人。リチャードは貴族達の権謀術数に巻き込まれていく。アレクは妙に貴族のことに詳しいのだが…
とにかく文章に比喩が多く、耽美な雰囲気がこれでもかと振り撒かれている。その分わかりにくくもあるが、主要キャラの魅力は伝わってくるので構わないのだろう。わがまま放題だがどこか人を惹き付けるアレク、ストイックだがアレクには激甘なリチャードのカップルが良い。剣に目覚めたマイケルとアップルソープの師弟関係も魅力的だし、誰よりも上手を取る公爵夫人もいい味出している。
「死神という名前ではなかった剣客」
アレクとリチャードの元に望まない婚礼から逃げ出した娘が訪れる。ちょっと強引な話の運びでアレクが妹について語る。
「赤いマント」
上等な赤いマントの男がリチャードと決闘する。ホラー仕立て。
「公爵の死」
アレクの晩年。本編の後にいろいろありまくったことが示唆されているが、本当に断片的な情報しかないので話に乗りきれなかった。たぶんこれまでの道程を物語として読んだ後なら感涙にむせたかもしれない。