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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「ジーン・ワルツ」海堂尊



閉院間近のクリニックに勤める医学部助教と、五人の妊婦の物語。
妊娠・出産という女性が何かしらの形で向き合わなければならないテーマを描く。






五人の中でもっとも丁寧に描かれているのはユミだ。
最初は軽率に中絶を望んだ彼女が、紆余曲折を経て最後は悩みながらも障害児を産む決意をする。その成長は目覚ましい。
人は子を宿して自動的に母になるのではなく、子と真剣に向き合ってようやく母になるのだと感じた。

また、五人の中でもっとも壮絶な体験をしたのはみね子だろう。
彼女は、産まれても数時間と生きられない子を、妊娠出産の大変さを知りながらも産むと決意する。作中ではわりと軽く描かれているが、妊娠期間をどのような思いで過ごしたのかを想像すると、涙が溢れてくる。


このふたりのドラマは大変面白かったが、それ以外はいささか微妙だ。
まず、理恵のキャラ設定のせいもあるだろうが、彼女の患者に接する態度がどうもつっけんどんである。すべての産婦人科医を知っているわけではないが、実際の彼や彼女らの多くはかなり言い回しに気を使っている。
それと、妊婦健診には自治体からクーポンが出ている。不妊治療に助成金を出す自治体もある。この著者はとかく行政を悪者にしがちなのだ。
さらに、さすがに他人の子供を切り札に仕立て上げるのはどうかと思わざるを得ない。今後絶対にDNA鑑定が行われない、という保証はないわけだし。ここが後味の悪さの最大の要因である。


ところで、文庫のあらすじには「生命の意味と尊厳、そして代理出産という人類最大の難問に挑む」とあるが、本作では単に理恵がどう代理出産と関わったのか、という謎を解くくらいである。代理出産の詳細は続編かつ対の話である「マドンナ・ヴェルデ」で描かれているらしい。あらすじ詐欺だ。
それに、生命の意味と尊厳に挑んだ結論がこれだとしたら、あまりにも軽すぎる。

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管理者:dusk

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