
まるで神様のような人格者だった教師の通夜。喪主姉妹、元教え子、元同僚、アパートの店子といった参列者の視点を切り替えながら、彼がいかに傑物だったか語られる。ところがバラバラな情報を照らし合わせていくと、なにやら不穏なものが浮かび上がり……。
綺麗に騙された。
タイトルと情報の断片から想像できる範囲で物語は進んでいく……中盤までは。
一端推理がまとまったところで、それまでひとり浮いて見えた登場人物が鮮やかに話をひっくり返す。なるほどいいミステリだな、と思っていたらさらなるどんでん返しである。
初読時は正直突拍子もないと感じたが、読み返すと確かに上手いことすり抜けている。
一番大きくミスリードを招く
晴美と友美がふたりで現れたように見える場面も、彼女たちと関係の薄い人物の視点から描くことで自然に誤認させている。
テンポ良く切り替わる
一人称形式も、情報を読者にじわじわと統合させるために見せて、真のからくりを隠すために使われていたのだと感心した。