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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「あなたの人生の物語」テッド・チャン(浅倉久志他)





SF短編集。
どの作品も世界観の作りこみがすごく、引き込まれてしまう。



「Xの悲劇」エラリー・クイーン(鮎川信夫)





言わずと知れたエラリー・クイーンの名作である。

引退したシェークスピア劇俳優が探偵であり、彼の存在が物語を通して荘厳な雰囲気を醸し出している。
ストーリーは、裁判シーンなどの盛り上がりを見せながら、無駄なく着実に進んでいく。
そして終盤では華麗な謎解きに驚嘆し、いくつも張られていた伏線に感心する。

この小説は緻密な構成と大胆なトリックで楽しませてくれるのが、もっとも特徴的なのが「ダイイング・メッセージ」である。
中盤で語られるそれは、なかなか正体を現さないのだが――最後の一文が鮮やかな印象を残してくれた。


「百万ドルをとり返せ!」ジェフリー・アーチャー(永井淳)




投資詐欺にあって無一文になった四人の男が、巻き上げられた金を取り戻すために奮闘するコメディ。

原題 " NOT A PENY MORE, NOT A PENNY LESS " 通り、損した分と同じ額を取り戻すべく、綿密な計画をたてるのだが…様々なアクシデントが起こり、なかなか面白い展開になる。

綿密な計画、と書いたが、作戦自体はコントみたいで想像すると笑いがこみあげてくる。
テンポ良く進む展開とラストのどんでん返しが、文句なく楽しめる一冊。


「片目のオオカミ」ダニエル・ペナック(末松氷海子)




片目を開けないオオカミと、少年の瞳を通じた交流。
アラスカとアフリカの思い出が交錯し、絆が生まれた。



「クリスピン」アヴィ(金原瑞人)




中世のイギリスを舞台にした正統派成長物語。
目次に章ごとのあらすじが書いてあり、正直読む気を削がれてしまった。

しかし、最後まで読んだかいはあったと思う。
少年クリスピンの成長と、中世イギリスが民主主義へと変化していく様を重ねて読むことができる。

年齢的なものか時代的なものか、保護者の「熊」視点で読んでしまい、無気力状態から年相応に成長するクリスピンがかわいく思えた。

「スタイルズ荘の怪事件」アガサ・クリスティー(田村隆一)




アガサ・クリスティの処女作で、ポアロシリーズの第1作目。
1982年発行の田村隆一訳版を読了(現在は絶版)。
翻訳があまり好みではなく、少々読みづらさを感じた。

とはいえ、やはりストーリーは面白い。
特にこの毒殺トリックは好み。
長く愛される作品はやはり他とは違うなあ、と思わせてくれる。


「グレイ・ラビットのおはなし 」アリソン・アトリー(石井桃子/中川李枝子)





子供のころ、「リトル・グレイラビットやさしい四季の手づくり百科」を買ってもらい、ハンドメイド作品にわくわくしていた。
とはいえ、原作は読んでいなかったため、グレイラビットやヘアがどのようなキャラクターなのか気にかかっていた。

メルヘンな絵に反したキャラクターの性格の尖りっぷりに驚いた。
最初のうちはヘアとスキレルがグレイラビットをこき使い、グレイラビットはしっぽをフクロウにあげることになってしまう。
イタチの事件をきっかけにヘアもスキレルも丸くなったので、後半はほのぼの絵本といった雰囲気になっている。
特にヘアはお馬鹿な面が目立ち、馬鹿な子ほどかわいい、という気持ちをくすぐられる。

「ケルトの白馬」ローズマリー・サトクリフ(灰島かり)





イギリスはバークシャーの丘陵地帯に描かれた「アフィントンの白馬」。
この巨大な地上絵が如何にして描かれたのか、というケルト民族の物語。
主人公のルブリンが、魂から模様を紡ぎだす描写が力強くも繊細で引き込まれた。
ケルト文化の描写も美しい。

ルブリンの一族は戦いに敗れ、征服されてしまう。
生き残りを解放するために、ルブリンは命がけで白馬を描くのだ。
悩み、苦しみながらも、生命の宿った白馬を描き切ったルブリンの生きざまに鳥肌が立った。


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管理者:dusk

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