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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「あなたの人生の物語」テッド・チャン(浅倉久志他)





SF短編集。
どの作品も世界観の作りこみがすごく、引き込まれてしまう。






「バビロンの塔」(浅倉久志)
いわゆるバベルの塔を本気で作る職人の話。
私達の宇宙とは別世界だが、塔で一生を過ごす人々の暮らしぶりが面白い。
ラストはいかにも、という感じで、わりと好み。


「理解」(公手成幸)
事故と手術で天才になった人の話。
天才の描写ってなかなか難しいものだとは思うが、この内面描写にはすんなり納得させられる。
天才同士の戦いが面白かった。


「ゼロで割る」(浅倉久志)
数学の証明と、すれ違う夫婦。
数学の方は正直さっぱりで、感情移入というのは独善的なものだなあ、という印象。


「あなたの人生の物語」(公手成幸)
自分の未来がわかってしまったらどうなるのか…というのは、相当昔から取り扱われてきたテーマだ。
たいていの人間は定められた未来を変えようとする。
ひねりの効いた話(短編が多い)では、未来を変えようとした行動そのもので、逆に未来を決定づけてしまう。
人間の意志の力を愛する話(長編が多い)では、未来に打ち勝つことができる。
この物語の主人公は、無条件に幸せだとは言えない未来を受け入れる。
既に決定された未来を生きるのは無意味なのか?いや、そうではないのだ。

「へえ、お話がどう進むかとうにわかってるんだったら、なぜ私が読んであげなきゃいけないのかしら?」
「だって、聞きたいんだもん!」
そう、たとえ「知っている」ことでも、その瞬間を「体験する」ことが、もっとも重要なのだ。


「七十二文字」(嶋田洋一)
中世的な錬金術が支配する世界。
といっても、それを構成するのは現代科学やプログラム言語的な考え方で、面白い。
主人公が出した解決策にはにやりとさせられる。


「人類科学の進化」(古沢嘉通)
超短編。ありえない話でもないな、と思わせられた。


「地獄とは神の不在なり」(古沢嘉通)
神の存在する世界での信仰がどうなるのか、という話。
ラストは悲劇的だが、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の唯一神は突き詰めればこういうものなのだろう。
見返り――神の愛を求めるようでは、真の信仰とは言えない、ということか。


「顔の美醜について――ドキュメンタリー」(浅倉久志)
人の美醜を判断する能力を、意図的に遮断できるようになった世界。
技術はどんどん進化するものだが、人の自由意思が最大限に生かされるならそんなに悪い未来はこないかもね、と思わせられた。

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