

ひねりの効いたもの、ブラックなもの、コミカルなものなど14作品の短編集。
「妻を殺さば」(白須清美)
財産目当てに逆玉に乗った男が、妻を殺そうと画策する。
登場人物の九割がクズ。
オチはありふれているけど、嫌いじゃない。
「毒薬であそぼう」(谷崎由依)
とある家に投げ込まれた青酸カリの丸薬を、いたずらな姉弟が隠してしまった。
コミカルに進むストーリーと、オチの黒さのコントラストが印象的。
「10ドルだって大金だ」(谷崎由依)
銀行の現金が帳簿と合わない。なんと、10ドル多いのだ。
一日の猶予を取り付け、なんとか切り抜けようとするが…
お金が増えた理由には脱力。
「50セントの殺人」(白須清美)
精神病患者の隔離施設にいる男が、自分を閉じ込めた親類を殺そうとする。
うまいこと口の回る主人公の会話が好み。
オチにはニヤリとした。
「とっておきの場所」(好野理恵)
妻を殺し、絶対に見つからない場所に死体を隠した男。その場所とは?
意外な展開にすっかり騙された。
「世界の片隅で」(好野理恵)
少々頭の弱い男が強盗に失敗し、スーパーマーケットに隠れる。
彼が最後にした選択は、私も子供のころに夢想したことがある。
ちょっとうらやましいラストだ。
「円周率は殺しの番号」(谷崎由依)
男が脅迫される。殺人の証拠は車のナンバープレートで…。
短いが、オチが捻られている。
「誰が貴婦人を手に入れたか」(白須清美)
贋作を使って大儲けしようとするカップル。
選んだ手段が秀逸。
確かに、一番安全かつ利益の出る方法だ。
「キッド・カーデュラ」(好野理恵)
新人だが、滅法強いボクサーのカーデュラ。
彼の正体は序盤でわかるが、最後まで明記しないところが好み。
「誰も教えてくれない」(藤村裕美)
調査偽装を依頼された探偵、ターンバックル。
後出しの多いミステリを読んだ時って、こんな感じになるなあ。
「可能性の問題」(藤村裕美)
迷推理が爆発するターンバックル。
表題通り、可能性だけ考えたら何でも有りなわけで…。
名探偵コナンの毛利小五郎を連想する。コナンがいないところが悲劇。
「ウィリンガーの苦境」(藤村裕美)
記憶喪失の男の過去を探るターンバックル。
相変わらず途中で推理を間違っているが、まあ結末はめでたしめでたし…かな?
「殺人の環」(藤村裕美)
連続殺人犯に挑むターンバックル。被害者をつなぐミッシング・リンクとは?
ターンバックルは、ミステリを穿って読みつつもあっさり騙される読者のようだ。
なんだか親近感を覚える。
「第五の墓」(藤村裕美)
死体のない墓と、棺のない墓の謎に挑むターンバックル。
珍しく推理が当たったようだが…。
彼のいい人っぷりが好み。