

なんとも言えない後味が残る短編集。
裏表紙には「すべてはラストで覆る!」と煽っているが、そこまで驚天動地のどんでん返しがあるわけではない。
どちらかと言うと、カバー袖の「主人公たちの物語は余白に続く」という著者の言葉がしっくりくる。
以下、ネタバレを含む各編の感想。
「恋煩い」
ばかばかしい、と思いつつも恋愛成就のおまじないにはまっていく女子高生。
成長するにつれて変わっていってしまう幼馴染三人の関係と、悪意の書かれ方がいい。
「妖精の学校」
記憶を失い、大人にならずに妖精になるための勉強をする子供たち。
最後の一文はさすがに相当の知識人でないと分かりにくいような…。
解答を検索する羽目になったので、できればもう少し物語の中で明示して欲しかった。
「嘘つき紳士」
事故死した男性の携帯電話を拾った主人公は、恋人に振り込め詐欺を仕掛ける。
純粋な女性にすれた主人公が魅かれていく描写と、それをひっくり返す様が見事。
最後の一文が本当に上手く嵌まっている。
「終の童話」
辺境の村が、人を石にしてしまう怪物に襲われるファンタジー。
ただ、そのテーマには脳死などの現代的で重いテーマを連想させられた。
蘇ることのない大切な人。でも、姿形はそのままでそこにあるとしたら…たとえ頭では分かっていても、納得することは難しい。
決断を迫られたウィミィは、エリナと過ごした記憶が長い長い時間の中で、風化してしまったことに気付く。
風にさらされ続けた彼女の石像のように。
そして、もうすでに温もりは残っていない…
最後の場面の一文一文が、ただただ胸に残る。
「私たちが星座を盗んだ理由」
七夕の夜、星座が一つ夜空から消えた。
トリックの美しさと、星の首飾りというロマンチックさと、三人のどうしようもないすれ違いの苦さの絡み合いがいい。