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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「ミミズクと夜の王」紅玉いづき





少女ミミズクと魔物の王の話。

中盤まではありきたりな話だな、と思いながら読んでいた。
ミミズクが記憶を取り戻してからの終盤は引き込まれ、一気に読んでしまった。
とくに目新しい展開はなく、王道とも、よくある話ともいえるストーリーだが、言葉の選び方、文章の重ね方が心地よく染み入ってくる。
エピローグで眠る二人のイメージが目に浮かび、幸せな気分になれた。



「ゆんでめて」畠中恵




しゃばけシリーズ。
行くつもりはなかった道を行ったばかりに、屏風のぞきを失ってしまった…。
時間を遡る連作短編。



「ころころろ」畠中恵




しゃばけシリーズ連作短編。
若だんなの目が見えなくなってしまった騒動を描く。

「いっちばん」畠中恵





しゃばけシリーズ短編集。

「いっちばん」
元気のない若だんなのために贈り物を探す妖たちと掏摸の話。
テンポのいいドタバタ騒ぎが楽しい。

「いっぷく」
鳴家を探る謎の男と品比べの話。
名を捨てて実を取るような、品比べの結果ににやりとした。

「天狗の使い魔」
天狗に狐、狛犬の絡んだ騒動。
だいぶ話がもつれていたが、あっさりとした解決だった。

「餡子は甘いか」
修行に出た栄吉と、器用貧乏な泥棒の話。
栄吉は確かに努力家なんだけど、方向を間違っている気がする。
ちゃんと親方が「まず先輩達がどうやって菓子を作っているかしっかり見て、こつを覚えろ」って大事なことを言っているのに聞き流している(まあ、栄吉の精神状態はそれどころじゃなかったんだろうけど)。
特に職人技は見て覚えるものだろうし、自己流でやって芽が出ないから修行に出たんだし…
栄吉が一人前になるのはまだまだ先のようだ。

「ひなのちよがみ」
お雛がついに白粉を取った。するとかなりモテはじめて…。
今までも言及されてきたが、若だんなは男女の機微がまだよくわからない、という話。
若だんなが恋をして成長し、結婚して長崎屋を継ぐ…というのがこのシリーズの最終回になるのだろうか。





「ちんぷんかん」畠中恵





しゃばけシリーズ短編集。

「うそうそ」畠中恵





しゃばけシリーズひさしぶりの長編。
箱根まで湯治の旅に出る若だんな。

一太郎と松之助、仲の良い兄弟っぷりが微笑ましい。
幼いまま千年生きたせいかちょっと精神がアンバランスなお比女、どん底から這い上がってしたたかに生きる新龍など、新キャラも魅力的。

シリーズを通して己の在り方によく悩んでいる若だんなだが、そのぶんお比女の悩みにも共感できるのだろう。
クライマックスで、命がけの決断を迫られた若だんなの肝の据わりっぷりがいい。
あの場面であっけらかんとしてる強さが、若だんなの魅力だ。


「この世にひとつの本」門井慶喜





女流書家の失踪と、謎の連続病死を印刷会社社長の息子が追う。

登場人物も物語もなんだか薄いというか、上滑りしてしまった印象。
地の文や脇役が三郎をやたら持ち上げているが、凄さが伝わってこなかった。
むしろ、主人公補正とか、ご都合主義的展開とか、そういった言葉が思い浮かぶ。
病死の原因に早い段階で気づいてしまったのもあって、いまひとつ気分が盛り上がらなかった。
クライマックスの書家との対決には期待していたが、あっさり終わってしまって残念。
彼女が生涯をかけた情念なのだから、もっと濃厚に書いてほしかった。
ただ、「幽嶺源氏」の描写には引き込まれた。実際にあれば見てみたいものだ。


「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」アガサ・クリスティ(田村隆一)






「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」と言い残して死んだ男の謎をめぐり、牧師の息子と伯爵令嬢が奔走する冒険活劇。

二人が勢いで突っ走り、相当危うい目に合うのでハラハラしながら楽しく読んだ。
状況が二転三転するので、最後まで気が抜けない。
事件の真相、そしてエヴァンズの正体は意外なもので、すっかり騙されていた。
ラストはうまく着地し、ほっと一息つける。







「鏡の偽乙女 薄紅雪花紋様」朱川湊人





大正初期、謎めいた男穂村江雪華と出会った槇島。彼らの周りで起こる不可思議な事件を描いた連作短編集。



「墓場の傘」
絵描きになろうと家を出奔した槇島は雪華と出会う。
ひょうひょうとした食えない男だと思ったが、墓場の亡者を供養する姿には彼なりの情を感じる。

「鏡の偽乙女」
雪華のいる下宿屋に引っ越した槇島。
部屋にいる幽霊を成仏させるため、幽霊の本当の姿を鏡に描く「鏡供養」をすることに。
女の心を持つ男の本質――その答えをしみじみと味わう。
理想とは程遠くても、自らのありのままの姿を受け入れる。
決して幸せとは言い難いが、それこそが人の在り方なのだろう。

「畸談みれいじゃ」
知り合いの少女の父が行方不明に。
必死に家族を守ろうとする父親。最後に娘の願いをかなえようとする姿に胸を打たれる。
そして、盲人の瞼の裏にある夕焼け…その赤さ、鮮烈さのイメージが頭から離れない。

「壺中の稲妻」
槇島の親戚が、謎の美青年の虜になる。
誰かを想う、という形は人それぞれ。
惣多の恋の形は意外というか、絵描きらしいというか。

「夜の夢こそまこと」
稀代の女性奇術師の偽者を演じる月子の物語。
彼女の一世一代の芸、それをやり遂げて滅んでいく姿は本当に美しい。
はかなく見えようとも、月子は自らの執念に殉じ、やり遂げたのだ。



「完全無欠の名探偵」西澤保彦




そこにいるだけで、他人の心の奥底にしまわれていた出来事を当人に推理させてしまう(しかも無自覚)、という能力を持った男が、事件解決のために高知へ送り込まれる。

最初は単独のミステリがいろいろ読めるな、程度だったのだが、それらの事件がどんどん収束していくにしたがって、引き込まれるように読んだ。
各事件の組み合わせ、さらには前提として提示された世界観の構造、それらが緻密に構成されていて、思わずため息が出る。

ところで、世界設定の部分と撮影場面に、なんとなく「涼宮ハルヒ」シリーズを連想させられた。
あくまで偶然だろうが…谷川氏はこの作品を読んだことがあるのだろうか?

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管理者:dusk

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