

しゃばけシリーズ連作短編。
若だんなの目が見えなくなってしまった騒動を描く。
「はじめての」
一太郎12歳の初恋。
最近はやりの言葉でばっさり言っちゃうと、おたつは毒親になってしまったんだろうなあ。
寂しさに負けて、娘にすがりついてしまう気持ちは分からなくもない。
「ほねぬすびと」
若だんなの目が見えなくなる騒ぎの中、武家から預かった干物が消えた。
頭の切れる藤九郎とやらは、今後登場しそうな気がする。
「ころころろ」
若だんなの視力を取り戻すため、仁吉は手掛かりとなる河童を探す。
どんどん増えるお荷物を持てあまし気味な仁吉の姿に笑いが込み上げた。
小ざさと一緒に居たいがために嘘をついてしまう河童は、ずっと寂しかったんだろう。
何度か振り返りながらも黄泉比良坂を下る小ざさと、見送る河童の姿が切ない。
そして小ざさに、妖として長く生きるよりも黄泉に行きたいか、と聞いた仁吉の心境を思うと…さらに切ないなあ。
「けじあり」
気が付くと佐助は自分の名前以外を忘れ、おたきという女と夫婦になっていた…。
おたきの情念を受け止める佐助の男っぷりがいい。
こういうどっしりと構えたところが佐助の魅力だ。
「物語のつづき」
ついに若だんなの目の光りを奪った神様を捕まえた。
この本では「ほねぬすびと」をのぞいて、寂しい、そばに誰かいてほしい、という想いが描かれてきたが、生目神様が一番つらい結果になってしまった。
シリーズ読者としては、若だんなにかなりの情を移している仁吉と佐助の今後を考えてしまう。
佐助は
「産土」を読むと過去をしっかりと受け止めて進んでいけると思うが、千年片想いしていた仁吉はちょっと心配だ。