

異色の視点で語られる「夏と花火と私の死体」と、住み込みで働いている家の謎を探る「優子」の二編を収録。
「夏と花火と私の死体」
死体である"私"がの一人称視点という、異色の物語。これがデビュー作であるからすごい。
殺されてしまった少女が、彼女の死体を隠そうとする兄妹の行動を語るのだが、非常に語り口が淡々としている。
自分を殺した相手だというのに、憎しみだとか怨みなどを感じさせず、ただ超然と語るのだ。
その一方で、淡い思いを抱いていた相手の目に自分の裸足が触れることを恥ずかしがるという、少女としての感覚を見せもする。
幻想的で不思議な味わいが忘れられない作品。
「優子」
住み込みで働く使用人の清音は、姿を見せない奥様に疑問を持つ。
非常に上手い構成で、あっさり騙された。
さりげなく張られた伏線と、全体を覆う雰囲気がいい。