

これまでの物語で断片的に語られていた、ダダーのノルルスカインとミスチフの正体、そしてすべての始まりが語られる。
いやはや、とんでもなくスケールが大きい。
しかもその途方もないスケールの大きさを、読み進めていくとなんとなく実感できてしまう、というのがすごい。
タイトルの「掬」とは手ですくう、という意味なのだそうだ。つまり、「百掬の銀河」とは銀河を百回掬う、ということになるのだろうか。
被展開体、特にノルルスカインの在り方が興味深い。
各ストリームは同じ「ノルルスカイン」というアイデンティティを持つが、それぞれ個性を持っている。
同一個体というよりかは一つの種族、と捉える方がいいだろう。
IIIでフェオドールのストリームを失った時に残念がっていたのは、全く同一の存在は造り出せないからだったのか。
ノルルスカインとオムニフロラの在り方は対立している。
個性を尊ぶノルルスカインと、全て同一の存在に塗りつぶすオムニフロラ。
IVの『混爾』と『不宥順』の概念は、これを暗喩しているのだろうか?
一方、並行して進む小惑星農夫の話もこれまた面白い。
小惑星ならではの農法とか、遺伝子改良失敗の悲劇とか、治安の悪化が流通に与える影響とか、一つの作品として十分に成り立つものだ。
各巻で趣向をガラッと変えながら進む、このシリーズの行き先が楽しみ。