

七海学園シリーズ二作目。
前作の鮮やかなトリックもあり、プロローグを読んだ時点で絶対ここに仕掛けがあるとは思った。
そして素直に読めば被害者視点にとれるが、加害者視点なんだろうなとの見当もついた。
そして章構成。時系列的に最後の「冬の章」の合間に他の章が挟まっており、ここにも仕掛けがあるとは思った。
被害者の名前が巧妙に避けられているため、瞭は被害者ではなさそうだとの見当もついた。
が、読み進めていくうちに、「冬の章」の合間に挟まった他の章が面白すぎて、ついつい推理を忘れて引き込まれてしまった。
特に「夏の章」の消失トリックと子供たちの懸命な姿にはきゅんとしたし、「晩秋の章」の展開には手に汗を握った。この話については、望の父の身勝手さをきちんと指摘し、決して「いい話」で終わらせないところも好き。
そして最後の「冬の章」で明かされた真実。ただただ脱帽するしかない。
一人称視点である限り、視点人物のすり替わりは考慮に入れるべきだったが完全に失念していた。作者の狙い通りに。
第三者から「主人公の名字」を呼ばせ、答えるのに少々の間を置くが否定しないところなどあまりに周到で、鮮やかな手並みである。しかも無理がない!
本当に素晴らしいミステリだ。結末はほろ苦いが、希望を感じさせるものでそこも好き。
ぜひ続編をふたつの意味で望む。