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写本師の穴蔵

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「悪党どものお楽しみ」パーシヴァル・ワイルド(巴妙子)




いかさま賭博から足を洗い、今は農夫として暮らすビル・パームリーが、ちょっとお調子者のトニーに引っ張りまわされ、様々ないかさま賭博を暴くギャンブル・ミステリー短編集。






「シンボル」
若きいかさま賭博師ビルはある時他のいかさま師に身ぐるみ剥がされ、故郷に帰る。
厳格な父親は息子が詐欺師に堕ちたことを嘆き、追い出そうとする。行くあてのないビルは父親の持ちかけたポーカー勝負にのり、いかさまで勝とうとするが、なぜか思うように手が動かず……。
タイトルにもなっている、”古くからの正しさの印”である小枝の鞭が印象的。


「カードの出方」
農夫としての生活にすっかり馴染んだビルは、溝に車が嵌まったミリーを助ける。
彼女の夫トニーは、どうやらいかさまポーカーで金を巻き上げられているようで……。
相手のつけたカードの印を見破り、つけかえる手並みが鮮やか。相手が詐欺師でなかったら勝たせていたという勝負の作りこみ方も好き。


「ポーカー・ドッグ」
ミリーの親戚がいかさま賭博で金を巻き上げられた。トニーはいかさまを見抜いて金を取り返そうとするが、返り討ちにあってビルに助けを求める。話を聞いたビルは、なぜか犬を探し始め……。
カードをどうやって隠し持っていたかを暴く話。犬が果たした役割はシンプルで、それが小気味いい。


「赤と黒」
鼻つまみ者がルーレットで金を巻き上げられる。トニーからビルの話を聞いた被害者は、金を積んでいかさまを見破るよう依頼するが……。
ルーレットの回転をカメラの原理で解明する装置が面白い発想だった。
被害者がとにかくイヤな奴なので、最終的に鼻が明かされるのは彼になる。


「良心の問題」
トニーの所属する名士ばかりが集うクラブで、貧乏な若者が金持ちの老紳士に勝ち続けていた。ビルとの付き合いのおかげで、その勝負にいかさまの疑いを持ったトニー。うっかり疑いを口に出したせいで、いかさまの証明ができなければクラブを除名される事態になってしまい……。
いかさまをしていたのは老紳士であり、それは若者の父親を救えなかった悔恨のため、というとてもいい話。
ビルが老紳士に花を持たせてあげたのがかっこいい。


「ビギナーズ・ラック」
トニーが吹聴するせいでビルのもとへ多数の依頼が届くようになる。そのうちの一通をトニーが羨ましがったため、ビルはトニーをおだて、自らのふりをして解決してこいとフロリダへ送り出す。
トニーが危なっかしいので他の短編とは別のハラハラ感がある。ビルの真意にはにやりとさせられた。


「火の柱」
ビーチでポーカーをやるクラブにトニーがビルを招待する。トニーより弱いはずの相手にビルが負け、ふたりはいかさまを疑うが……
水着を着てビーチで行うトランプ、という一見いかさまが難しそうな状況を逆手に取った話。種明かしも洒落てる。


「アカニレの皮」
チェスクラブの会員が、非常に鼻持ちならないプレーヤーをこてんぱんにしてほしいとビルに依頼する。チェスは素人のビルだったが……
いかさま暴きではなく、いかさまを仕掛ける話。
集団でだましていく過程が面白い。ビタミンを珍しい肉と勘違いする描写から時代がうかがえる。仕掛けについては、チェス名人が出て来た時点で代打ちなんだろうな見当がついた。
追い出し方と、ビルの手元に残った(残らなかった)お金の使い方が粋。


「堕天使の冒険」
トニーがクラブでいかさまを暴く。ところがそれにはとんだ裏が隠されていて……
事実に基づいた話。なかなか大胆不敵なトリックで、タイトルの堕天使に込められた意味が洒落てる。まさか全部堕天使だったとは!
ふたりの詐欺師の末路はほろ苦く、ビルの決着のつけ方も相変わらず粋な作品。









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