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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「ジェネラル・ルージュの凱旋」海堂尊






前作と同時間軸で展開する。
「石頭で机上の空論をこねくりまわす理解の無い上層部」対「ぎりぎりで耐えながら必死に頑張る現場」といった展開で、ミステリーというよりはサラリーマン小説に近くなっている。

速水の存在感がすごく、まさに将軍といえるキャラクターだ。
今作にはエシックス・コミティ、リスクマネジメント委員会、そしてコンビナート火災という三つの戦いがある。
その全てで他のキャラクターを圧倒し、場の流れをかっさらってしまう。
前2作で活躍した白鳥のお株を奪う勢いで、あの白鳥の影が若干薄くなっている。
いかにも典型的な官僚といった風情の沼田を、速水が打ち破っていく様は非常に痛快だ。


現場正義をうたっているが、現場がすべて正しいと言うだけではない。
ルールや規則も大切なのだと語られている。

「手続きを飛ばして正義を貫こうとしても、刃は肝心の所には届かない。いつか必ずしっぺ返しに遭って叩き潰される。」

「たとえワシが気に喰わなくとも、桜宮の医療にはコイツが必要だ。ワシは規則という枠を守って生きる。コイツはその枠を破壊しながら前進する。」


速水以外にも面白い登場人物が出てきている。
事務方の中でも、より良い病院経営という信念がある三船には好感をもった。
白鳥の部下姫宮も登場し、独特なキャラクターが笑いを誘う。
「チーム・バチスタの栄光」では小物っぽかった黒崎教授も、自分が速水にかなわないことを告白し、なかなかの格好よさをみせている。

エシックスコミティやリスクマネジメント委員会の論戦も熱かったが、今作のメインは火災で被害を受けた患者との戦い、オレンジ・スタッドだ。
救える命は救えるだけ救う…その熱気が文面から押し寄せてきた。

すべてが速水の思惑通りに進むかと思えたが、最後に田口が仕掛けた逆転が小気味よく効いて物語は終わる。

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