



物語は病院という現場を離れ、霞ヶ関というお役所の会議を舞台に進行する。
新しく登場する人物たちのほとんどが、厚生労働省の関係者だ。
そのなかでは白鳥の上司、坂田のキャラクターが味がある。
基本的には会議を中心に話が進むが、その中で「チーム・バチスタの栄光」の裁判が続いていることが明かされる。
事件としては犯人逮捕で区切りがついていたが、決してそこで終わりではなく、まだ長い戦いがあるのだ。
田口と被害者遺族の邂逅、そして想いの丈をぶつける場面が心に残る。
知略戦、根回し、会議と、なんだか生々しい現実社会の描写に辟易しそう…と思い始めたあたりで、彦根が派手に躍り出てきた。
著者の主張を代弁するかのように、彦根がひたすら無双する。
彼の快進撃は結構痛快で、楽しめた。
「たとえ国家は滅びても医療は必ず残る」という台詞が熱くて、格好いい。
空想論、夢物語にすぎなくても、実現したらいいな、と思わせる世界を見せてくれた。