
香菜里屋シリーズ二作目。
「十五周年」
故郷の小料理屋からパーティーに招待されたタクシー運転手。だが招待客が妙によそよそしい。
作者は骨董美術系のシリーズも書いているのでそっち方面の話かと思いきや、さらにひねったオチ。
「桜宵」
病没した妻から「香菜里屋に最後のプレゼントを用意した」という手紙を受け取った男。そこで出された桜飯は、妻の作った茶飯と同じ味だった。
御衣黄という桜を初めて知った。ソメイヨシノのような派手さはないが、淑やかに美しい、そんな御衣黄によく似合う物語。
ところで表紙の写真では、どう見てもピンクの桜が散っている。軽いネタバレにはなるにしても、やはり薄黄緑の花びらを散らすべきではなかったか。
「犬のお告げ」
人事部長のホームパーティーで飼い犬に噛まれた人間はリストラされるという。
一見ランダム性が強いように見えるが、よく出来たシステム。裏にある人の情念がおどろおどろしい。
「旅人の真実」
あちこちのバーを巡り金色のカクテルを注文する男。果たして彼の求めるカクテルとは。
人との絆は、時に依存という名の毒になる。工藤と香月の絆には何が込められているのだろうか。
「約束」
十年ぶりに再会した男女。男は過去を懐かしむが、女の様子はどうもおかしくて……。
不幸が訪れた時、その原因を何かに押しつけたくなるのは珍しくない。それが長年煮凝ってしまえば、非合理とも思える行動を誘発することもあるのだろう。