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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「螢坂」北森鴻



香菜里屋シリーズ三作目。





「螢坂」
十六年ぶりに三軒茶屋を訪れたカメラマン。かつて恋人が住んでいた街は、ところどころ変わっている。
奈津実が「螢坂」に込めた願いが痛切。闇夜に乱舞する儚い命の光が印象深く残る。

「猫に恩返し」
焼鳥屋と猫のいい話をタウン誌に載せた記者。ところが思わぬ展開に。
いい話と世知辛い話が二転三転。最後は収まるべくして収まる。

「雪待人」
かつて三軒茶屋の地元商店街では、再開発計画が行われる予定だった。とある店主が強硬に反対しなければ……。
想い人を待ち続けた十三年。タイトル通り、雪を待つような静けさの作品。

「双貌」
転職に苦戦する柏木は、路上生活者にヒントを得て小説を書き始める。
不穏な展開……と思ったらまさかの結末。からのさらに捻ったオチ。非常に綺麗な構造で、見事に騙された。

「孤拳」
幻の焼酎を探す女性。その旨には病死した五歳差の叔父の言葉があった。
焼酎探しは、まさに幻という言葉がふさわしい結末に。だが工藤のひとことで、もの悲しさが払拭されあたたかい読後に変わる。
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管理者:dusk

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