
衣更月の時計を壊してしまった花穎、見ると呪われる絵画、嫌がらせされるケーキ屋、「誰かの為に死ねるか」と問う襲撃者の話。
シリーズが一区切りする巻であり、花穎と衣更月の絆がいかに深まったのかが語られる。特に「眠れる森の」で咄嗟にぶつけられた花穎の演技を受けとめる衣更月がいい。
赤目は今回暗躍せず振り回される側だったのでちょっと物足りなかった。
エピローグでは、真一郎がなぜ衣更月を花穎の執事に抜擢したかの真意が明かされる。大変父親らしい理由である。
シリーズ全体としては、個々のエピソードはわりと面白いし花穎と衣更月の成長譚としても悪くないと思う。ただ、現代日本社会に、昔のイギリス貴族を土台としたような上級社会が突っ込まれるという構造の違和感はどうしても拭えなかった。よく執事や使用人の成り手がいるな~よっぽど給与いいのかな。安定性はありそうだけどプライベートは会社勤めより少なそうだし仕事一筋で成り上がるにも限界があるし。これだけ要求水準の高い執事が務まる人なら普通の会社に勤めた方が何倍もいい人生送れそう。
たぶん異世界とか架空の国とかの設定なら楽しめたと思う。