

異端の外科医、天城の物語。
法外な報酬を要求しながらも金の亡者ではなく、高い技術を誇るその姿は、かのブラック・ジャックを思い起こさせる。
自らの信念に従い、どうしても助かりたいという気迫を持つ患者のみを助けるところも似ている。
ブラックジャックがあくまでも個々の患者を助けることのみを貫いたのに対し、天城は日本の医療界全体を救う道を選ぶ。
どうしてもどちらか一方の患者しか助けられないならば、より多くの金を払う患者を救うという天城理論は、他の誰も追随できないような高い技術を持っているからこそできる選択だ。
凡庸な医師が高い報酬を要求すれば、患者は別の医師を選ぶだろう。
天城理論を受け入れられない垣谷や黒崎は、それにより自らの技術の限界を認めてしまっているようにも取れる。
登場当初の天城は気障なキャラだと思っていたが、読み進めるにつれて好感をもった。
まだ若い桐生もちらりと顔をみせ、天城の後押しがアメリカに行くきっかけとなる。
世良も天城に強く影響され、天城の後を追う道を歩き始めたようだ。
「チーム・バチスタの栄光」をはじめ、作品世界の原点となる重要人物にふさわしい存在感があった。