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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「ノーゲーム・ノーライフ 2 ゲーマー兄妹が獣耳っ子の国に目をつけたようです」榎宮祐




ノーゲーム・ノーライフ2作目。
新キャラのジブリールがなかなか個性爆発で面白い。
本や知識への偏愛は本好きとして親近感を覚える。
具現化しりとりも、勝ち方が綺麗にまとまってて前作のチェスゲームよりだいぶよかった。

ジブリール戦や獣人種とのやりとりで、他種族と人類種の圧倒的な能力差が明示される。
圧倒的な差をどうやって覆していくのか、わりと熱い展開になってきた。


「ノーゲーム・ノーライフ 1 ゲーマー兄妹がファンタジー世界を征服するそうです」榎宮祐






ゲームの達人兄妹が異世界に召喚されて無双する話。
あとがきによるともともとは漫画のプロットとして書かれたものだそうで、まあそうだろうなあ、といった文章。
ダッシュ、ルビ、傍点、倍角文字の多用はいかにもラノベだが、ダッシュと傍点はさすがに多すぎた気もする。
いわゆるネットスラング、パロディネタも多いが、主人公たちがオタク設定であるのでそれほどは気にならない。ネタを口に出して喜ぶ気持ちもまあ分かる。

兄妹は元の世界へ帰還せず、新しい世界で生きることを決める。
そこは気にいった。
昔から、主人公たちが異世界での冒険を終えた後、自分の世界に戻っていくことを非常に寂しく思っていたので。


「空飛ぶ馬」北村薫




落語家と女子大生の日常の謎系ミステリー連作短編集。
ゆったりと時間が流れるような文章がいい。
しとやか、繊細、柔らか、温かいといった言葉が似合うが、優しいだけでなく、辛さや苦味も含み、深みをあたえている。



「魔法飛行」加納朋子




「ななつのこ」続編。
主人公が身の回りで起こった不思議なことを小説のような手紙として書き、それに手紙の相手が返信して謎を解く、という手の込んだ書き方をした連作短編集。


誰かに何かを伝えるための物語が描かれている。
小説という形で伝える主人公、証を残すための絵、不器用なカップルの想いの伝え方、宇宙との交信、そして、理解されることを望まない手紙。

誰かに何かを伝えるにはたくさんの方法があって、どれも完璧ではない。
時にすれ違い、ゆがんで伝わり、取りこぼされる。

それでも、人は届いているのかすらわからない想いを繰り返し、繰り返し、伝え続けるのだ。

駒子が最後に想い描いたように。






「ななつのこ」加納朋子




作中作「ななつのこ」をめぐる往復書簡を軸にした連作短編集。
主人公がリアルタイムで遭遇する日常の謎と、作中作の謎が絡みあいながら解き明かされる。
文章は細やかな描写で美しく、しんみりさせる。

「スイカジュースの涙」
スイカジュース事件の顛末は途中であらかた想像はつくが、ベビーカーの女性については頭から抜けてて気づかなかった。

「モヤイの鼠」
贋作騒動に見せてのちょっとずらした展開で、作中作はミスリードとなってる。
現代アートならよくありそうな話だ。

「一枚の写真」
やむにやまれぬ思いから人の物を盗ってしまう話はなんとも言えない苦味がある。
作中作は単なる無邪気でいい話だが。
写真を盗んだ動機と、面と向かって謝れなかった彼女の意気地のなさは嫌いじゃない。

「バス・ストップで」
綺麗な話だが、謎の解き方はちょっと大味な気がする。
連作短編としてのつなぎ的な立ち位置の話だろう。

「一万二千年後のヴェガ」
夜空を旅する恐竜風船を想像すると笑ってしまう。
なかなかのどかな風景だ。

「白いタンポポ」
自分が世の中の大多数には所属していないと認識したとき、とてつもない孤独感に襲われる。
そんな時に出会う、少数派でも毅然と生きているように見える人の存在は非常に鮮烈な光明なのだ。

「ななつのこ」
連作短編としてのまとめ作品。
作者の正体、作中作が生まれた過程、作品全体が綺麗にまとまって、あたたかい気分で読み終える。



「輝天炎上」海堂尊





「螺鈿迷宮」の続きとなる作品。
「ケルベロスの肖像」の裏側を、天馬、小百合、すみれの三視点から描く。



「ケルベロスの肖像」海堂尊




田口・白鳥シリーズの(一応)締めくくりとなる作品。


「アリアドネの弾丸」海堂尊





この著者の作品はいろいろな方向性でその主張を描いていたが、久々に医療ミステリとしての作品だった。
構成もミステリの王道で、田口も意識せずに重要なキーワードで探偵にインスピレーションを与えるなど、しっかりとワトソン役をこなしている。
前半をたっぷり使って背景の説明をしておいてから、後半で一気に状況を動かし、伏線を回収して謎を解く。



「スリジエセンター1991」海堂尊




「ブレイズメス」の続編、いかにして天城が東城大に敗れたか、という物語。
前作では天城の天才っぷり、輝かしさがクローズアップされていたが、世良との絆が深まるにつれ、内に秘めた弱さ、脆さも描かれる。
それがより天城というキャラクターの純粋さを際立たせ、魅力を深めている。



「ブレイズメス1990」海堂尊





異端の外科医、天城の物語。
法外な報酬を要求しながらも金の亡者ではなく、高い技術を誇るその姿は、かのブラック・ジャックを思い起こさせる。
自らの信念に従い、どうしても助かりたいという気迫を持つ患者のみを助けるところも似ている。
ブラックジャックがあくまでも個々の患者を助けることのみを貫いたのに対し、天城は日本の医療界全体を救う道を選ぶ。

どうしてもどちらか一方の患者しか助けられないならば、より多くの金を払う患者を救うという天城理論は、他の誰も追随できないような高い技術を持っているからこそできる選択だ。
凡庸な医師が高い報酬を要求すれば、患者は別の医師を選ぶだろう。
天城理論を受け入れられない垣谷や黒崎は、それにより自らの技術の限界を認めてしまっているようにも取れる。

登場当初の天城は気障なキャラだと思っていたが、読み進めるにつれて好感をもった。
まだ若い桐生もちらりと顔をみせ、天城の後押しがアメリカに行くきっかけとなる。
世良も天城に強く影響され、天城の後を追う道を歩き始めたようだ。
「チーム・バチスタの栄光」をはじめ、作品世界の原点となる重要人物にふさわしい存在感があった。

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管理者:dusk

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