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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「ケルベロスの肖像」海堂尊




田口・白鳥シリーズの(一応)締めくくりとなる作品。





前作では寝ていた高階病院長が、バブル三部作ばりに策を練り、活躍する。
過去のつけを精算する形だが、小百合にきった啖呵がなかなか格好いい。
高階の後継となった田口、天城の薫陶を受けた彦根がこれからの東城大を支える――世代を超えて、佐伯病院長の目論見が実を結んだ形になるのだろうか。


シリーズを通じて地味に株を上げ続けた黒崎教授は、まさに名脇役と言っていい。
当初はただの小者教授だったことを思えば、作者の愛が感じられる。

逆に、この作品に限ったことではないが、警察組織の扱いはやっぱり悪かった。
作者は何か恨みでもあるのだろうか。

エキセントリックな振舞いの東堂と高階のコンビ漫才は面白いが、後半はあまり目立たなかった。
南雲は小百合に傅く従僕ではあるが、それはそれとして解剖派からAiの良さを受け入れる姿は職人的で、好感も持てる。
小百合はおどろおどろしく伏線を張っていた割に、正体がばれた後は小物っぽく感じてしまった。
こちらの期待値が大きすぎたのかもしれない。

シオンの行動は正直唐突な感じで、ちょっと馴染めなかった。
もともとこの作者、特徴的なキャラクターを作るのはうまいが、動機や行動原理がストーリーありきで決められてしまっていることが多い。
そのせいか、キャラクターの薄さというか、ご都合主義を感じてしまう。
キャラクターが作者の操り人形であるのは仕方ないことだが、操り糸は見えにくくしてもらいたいものだ。

それでも、さすがに内面を長く書き続けている田口は温かさが感じられる。
炎が燃え盛る対決シーンでは傍観者に徹した田口だが、懐の深さは健在で、高階の抱える過去をそっと受けとめ、彼の背負う荷を軽くする。
高階の意志を継ぐ決意をする場面では、シリーズを通じて医療界の問題に深くかかわり、成長したことを印象付けられた。
そして、高階に対する最後の鮮やかなきり返しは、やっぱり田口らしい。
チーム・バチスタの序章、終章と対をなすような形で、きれいに物語が締めくくられた。

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管理者:dusk

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