



この著者の作品はいろいろな方向性でその主張を描いていたが、久々に医療ミステリとしての作品だった。
構成もミステリの王道で、田口も意識せずに重要なキーワードで探偵にインスピレーションを与えるなど、しっかりとワトソン役をこなしている。
前半をたっぷり使って背景の説明をしておいてから、後半で一気に状況を動かし、伏線を回収して謎を解く。
MRIと言えば強力な磁力がまず思いつくが、それに留まらないのがいい。
装置の特殊性を貪欲に利用し、さりげない伏線をいろいろ張っていて面白かった。
しかしかわいそうな被害者…ちょっと感がよかっただけなのに…。
宇佐美のキャラはちょっとやりすぎな気も。
ラストで明かされる高階病院長の肝の太さや、目立ちたがり屋な黒崎のエキストラの顛末にくすりとさせられた。