
人を食ったようなミステリ短編集。
「死体を起こす」
高校生達が宿泊した別荘で転落死事件が起こる。
一つ目の事件は納得したが、二件目はなかなか酷い解決に。
偽の解決を提示するのは他のミステリでもあるが、それはやむにやまれぬ物悲しい事情があってのことだ。ここまで利己的なのはメルカトル以外にいないだろう。
「九州旅行」
美袋の原稿データを吹っ飛ばした詫びに、メルカトルがネタを提供すると言う。
ミステリの探偵と助手というのは、探偵が変人で助手が常識的なお人好しであることが多い。しかしこのシリーズの美袋は、ネタのために事件現場で寸劇に興じたり、死体のある部屋でジグソーパズルのピースを数えたりと、探偵が探偵なら助手も助手である。ついでにタイトルもタイトルだ。
メルカトルが美袋を残して出ていったあたりで何かあるなと思っていたら、やはりいいオチを見せてくれた。
「収束」
カルト信仰者達が暮らす島で、男が恨みを抱いていた女を射殺する。ところが女は別の男を……
仮にもミステリでこれは有りなんだろうか、というのはもう野暮だろう。ただ一言だけ。
作品内で収束しないんかい!
「答えのない絵本」
アニオタ物理教師が学園内で殺害される。
理屈は通ってるのかもしれないが(検証してない)、警察としては
犯人はいなかったで済ますわけにはいかないし、これ署長の依頼は果たしていないんじゃ……
「密室荘」
メルカトルの別荘で知らない男が死んでいた。
この上なく力ずくの解決法。セメント注文してたし、そんなことだろうと思ってはいたけど。