
シュール感たっぷりのSF短編集。
「流れよわが涙、と孔明は言った」
故事「泣いて馬謖を斬る」を元にした話。
どうあがいても何故か斬れない馬謖を斬ろうと孔明が奮闘する。様々な方法を試すが馬謖は斬れない。斬れないどころか土に埋めた馬謖がつぎつぎ生えてくる始末。どんどんカオスになる文章に笑い、ちょっといい話風のオチに納得。
「折り紙食堂」
折り紙を出す食堂で展開されるホラー風味三編。珍しい二人称小説なのがまた不気味さを醸し出すのに一役買っている。
「走れメデス」
アルキメデスの逸話と小説「走れメロス」を融合させたらこんなになったよ、という話。
アルキメデスは激怒するし、セリヌンティウスの頭にはノミが刺さっているしで、なんかもう滅茶苦茶である。その滅茶苦茶さ加減が面白かった。
「闇」
闇の中に閉じ込められ、光の外に出られない世界。そこでは人が死んだら電柱になり、闇を照らす光源が増える。
重苦しく救いのない話。
「竜とダイヤモンド」
泥棒の鹿人とドラゴンカーセックスの話。設定は突飛ながら、この本の中では一番まっとうなストーリーである。
みょんみー、と鳴く竜はかわいいし、ダイヤを巡る陰謀や竜との別れ、そして意表を突くどんでん返しとハッピーエンドが楽しかった。