

ドルリー・レーンシリーズの完結編。
最初の謎の手紙や失踪事件のあたりは退屈だったが、シェークスピアの古書を巡る謎が開示されたあたりからは俄然面白くなった。
個人的に古書を含む本を巡るミステリーが好きというのもあるが、事件の展開も派手で飽きさせなかった。
ただ、ペーシェンスとゴードンのロマンスは退屈で蛇足に感じてしまった。
これは時代性の違い、恋愛観の違いがあるのでしかたないのだろう。
彼がなぜこのような行動に及んでしまったのか、これまでの三作を通じて彼の陰の部分をそれとなく読んできたからこそ納得できるし、哀しみも覚える。
「レーン最後の事件」が単発作品であったなら、きっと最後にしんみりとした哀しみは感じられなかっただろう。
タイトルにこそ「悲劇」とはついていないが、この作品は間違いなく悲劇だった。
シリーズのすべてはこの結末に至るために書かれたのだと(シリーズ全体としての面白さはともかく)納得させられる。
これまではほぼ意味を持たずにいた
耳の聞こえない設定はこのために…
シェークスピア俳優であるのも、その悲劇性を重ね合わせるためだったのかもしれない。