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写本師の穴蔵

本の感想などを書き溜めています。

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「やなりいなり」畠中恵





「こいしくて」
通町に恋が流行り、若だんなのもとには病気の神が押し掛ける。
前作の影がちらほらしていて、屏風のぞきも若だんなを守ろうといつもより頑張っている。
橋姫の想いも切ないが、それ以上に時花神の想いが胸に刺さった。
時花神が駆けていく後ろ姿が印象的。

「やなりいなり」
記憶喪失の幽霊が長崎屋に居候。
稲荷寿司をつくったり噺を一席ぶったりと、守狐の出番が多い。

「からかみなり」
藤兵衛が三日も戻らない。いったいどこに行ったのか…。
おたえの旦那として過ごしてきたせいか、怪異にやたら鈍い藤兵衛が笑いを誘う。
屏風のぞきがちょっと焦げたからと心配になり、父親をぐるぐる振り回させる若だんなもなかなかいい性格だ。

「長崎屋のたまご」
空から落ちてきた謎の玉と、逢魔が時に生まれた魔。
百魅と三十魅の兄弟喧嘩がかわいい。
空の上はずいぶんと賑やかなようだ。

「あましょう」
栄吉の菓子配達に付き合う若だんな。
新六と五一の不器用な友情が切ない。
彼らに自分たちを重ねたであろう、栄吉と若だんなの言葉にもしんみりした。


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