

気弱でひきこもりがちな探偵、音野順が、友人の推理作家白瀬白夜に引っ張られ、事件を解決する短編集。
軽快なテンポとコミカルな展開で、でもトリックは本格という面白い作品。
登場人物もあくが強めで、岩飛、笛有(ふえあり)、高庭といったペンギンのような名前の刑事たちが出てくる。
そういえば「しらせ」は南極観測船だった。
「踊るジョーカー」
無数のトランプが散らばった部屋で起きた密室殺人。
手品のようなトリックが面白い。
「時間泥棒」
屋敷中の時計が少しずつ盗まれる事件。盗んだ理由がシンプルで展開もまとまりがよく、好きな作品。
「見えないダイイング・メッセージ」
殺された社長の金庫の解錠番号を、被害者が死に際に撮ったポラロイド写真を手掛かりに推理する。
ダイイング・メッセージはともすれば不自然になりがちだが、この作品ではメッセージを残した理由を明確に書いている。
「毒入りバレンタイン・チョコ」
女子大生が毒入りチョコを口にしてしまう。
正直かなり危ういトリックではないだろうか。危うさの理由も一応動機にかかわってはいるが…
「ゆきだるまが殺しにやってくる」
大富豪の娘と結婚する条件は、もっとも優れたゆきだるまを作ること。
ゆきだるま作り競争中に、参加者の一人が殺される。
光景を想像すると笑いが込み上げてきた。
作中に乱舞する「ゆきだるま」の文字が、そのシュールさに拍車をかける。
タイトルも含め、この本の中では一番ツボな短編。