

前作から800年ほど遡り、すべての発端となるストーリーが描かれる。
中世を模した世界での革命とはうって変わって、現代で巻き起こるパンデミックの物語だ。
感染したら高確率で死亡し、生き残ってもウイルス保持者となってしまうため、生涯隔離される。
パンデミックへの対処の描き方に非常にリアリティがある。
特に「P-4(名目3)」の注意書きなど、バイオセイフティーレベルの取り扱いが現実に即していると感じる。
ちなみに、バイオセイフティーレベルとは、どれだけ危険性のある微生物やウイルスなどを扱う施設なのかを示す指標のこと。
なお、日本ではレベル4の施設は2か所ほど存在するが、現在では近隣住民の反対によりレベル3での運用のみ行われている。
患者群への非合理的な対応も、また現実味を伴って胸に迫ってくる。
千茅の親友となった青葉も、施設を出た後は手を洗ってしまう。施設のウイルス封じ込めが不完全なら、そんなことしても何の意味もない。
専門家である華奈子も、「穢れ」の観念を口にする。つかみどころのない感情を、非常に的確に表した言葉だ。
度し難い人間の業が、必然と言ってもいい物語を展開する。
この物語が、どのように「メニー・メニー・シープ」につながっていくか楽しみ。