

秋田禎信氏のデビュー作、「
ひとつ火の粉の雪の中」が復刊。
書き下ろしの掌篇収録とのことで楽しみにしていたが、本編がかなり改稿されていて驚いた。
書いた作品にはあまり手をいれない方だとばかり思っていたので。
まず目につくのは、固有名詞の変更だろうか。
妖術士の真影はヌイ、その娘の十六夜はリユヌ、と名前が変わっている。
確かにより異国情緒あふれる名前ではある。真影、十六夜の響きも好きだったのだが。
夜闇の力、<覇者界>も<颱帝界>となった。
「颱」とは台風の意味を持つ漢字らしい。
夜闇の力はどちらかというと雷や炎のイメージが強いのだが、台風の方がスケールの大きさが伝わってくる気もする。
全体的な文章の変更点としては、傍点がかなり減っている。
また、言い回しがかなりすっきりし、わかりづらい個所には説明が付け加えられている。
荒削りの部分が、改めて彫刻されたと言えばいいのか。
読者としてはわかりやすくなった。
とはいえ、旧版の独特で幻想的な雰囲気が少し失われた気もして、さみしいところ。
特に鳳と天者地者の対話部分では、かなりの変更がみられる。
うまくは言えないが、旧版では鬼と修羅、人間、世界といった全体的なものに言及しているように感じる。
それに対し、新版では夜闇と鳳、個人としての絆が強調されたように思う。
どちらもそれぞれ好みなので、旧版がKindleで販売されているのはうれしい。
そして、最後の掌篇。
こういった続きがあるとは予想していなかったが…非常に作者らしい続きではある。
特に最後のふたりの会話は感慨深い。
これが、この作者が物語を書く理由…と思うのはさすがに深読みが過ぎるか。
ただ、私がこの作者の物語を読む理由は、すべてこの会話に凝縮されている。